ハウスメーカーと工務店はどっちにするべき?違いを徹底比較

建築会社選び、ハウスメーカー選びは順調ですか?

一生の大半を過ごすマイホームですので、たくさん悩みながら、納得のいく建築会社を選んで頂ければと思います。

建築会社選びを進めていくと、ハウスメーカー(以下HM)が良いのか?地域の工務店(以下工務店)が良いのか?

非常に悩むと思います。どちらの方が絶対良いということはありませんメリットデメリットを把握して、最も信頼できる建築会社を見つけてください。

今回は、みなさまの建築会社選びのヒントとして、HMと工務店の違いを徹底解説したいと思います。

私の考える建築会社のおすすめランキングはこちらで解説しています。

HMと工務店とは

HMと工務店の定義をまず確認したいと思いますが、

結論から言うと、明確な定義はありません

基本的な考え方としては、以下を定義として、本記事は解説します。

ハウスメーカー(HM)・・・年間着工戸数300戸以上の全国展開をしている住宅会社

ビルダー・・・年間着工戸数50戸以上300戸未満のモデルハウスを持つような住宅会社

工務店・・・・年間着工戸数50戸未満の地域に根差した住宅会社

ビルダーという言葉をいきなり出しましたが、一般的な言葉ですが実際はほとんど使いません。ビルダーは、HMと工務店の中間にあたり、HMと工務店の両方の要素を併せ持ちますので、検討される住宅会社の規模を見ながらどちら寄りなのかご判断ください。

本記事では、HM(年間300戸以上)と工務店(年間50戸未満)の住宅での違いを解説していきます。

一戸建て注文住宅のHMと工務店のシェア率

住宅関連産業について(国土交通省)

一戸建て住宅に占めるHMと工務店の割合は、さまざまなところで書かれていますが、平成25年度データと少し古いですが、最も信頼できるデータとして、上図を国土交通省が作成しています。

上図から算出すると

300戸以上のHMの割合は

一戸建て住宅全323,300戸中130,000戸

40%を占めます。

50戸未満の工務店の割合は、

一戸建て住宅全323,300戸中136,300戸と

42%を占めます。

HMより、50戸未満の工務店を選ぶ人の方が多いということです。

どうですか?工務店の方が少ないと思っていたのではないでしょうか?

どうしても、HMの営業が強いため、HMに頼むのが普通という感覚になってしまいがちですが、実際はシェアはどちらもほぼ変わりません。

50戸以上300戸未満のビルダーと工務店を合わせた6割の人がHM以外で建てているということです。

なお、これは建売住宅が除かれた、注文住宅のみのデータですので、建売住宅(約13万戸)を入れればHMのシェア率はもっと高くなります。

HMのメリット

HMの家のデザインってどうですか?やっぱり洗練されているイメージですよね?

モデルハウスを見て、こんな家に住みたいなと思うのが普通だと思います。

HMにはメリットがいっぱいありますが、メリットはみなさんが『いいな』思っていることがメリットなので、3つのポイントだけ解説します。

①最新技術を活かした耐火性、耐久性

自社研究によって、耐火性能や耐久性能などを見せられたらやっぱりすごいな。と思いますよね。実際にさまざまな研究を行っているので、安心感はたしかだと思います。

②長期のアフターサービス

これから人生の大半を共にするマイホームですので、将来まで安心できる大手HMの長期保証は魅力的に感じます。

③大手企業のブランド力と安心感

大手HMの建物は、中古住宅市場ではやはり人気があります。友人や近所にも、立派な家に見られステータスの一つにもなるブランド力と安心感を大手HMは持っています。

知らなきゃいけないHMのデメリット3つ

対に!押さえておかないといけない、デメリットが3点あります。

①長期保証という名の囲い込み

長期保証って安心しますよね。防水の10年保証は、法律で義務化しているので最近は、20年保証、30年保証、企業によっては60年保証というものまであります。

ただ、この長期保証の基本的考え方というのは、10年毎の無料又は有料点検で、指摘したところを当社で直してくれれば雨漏りと主要構造部(屋根、土台、柱等)をまた5年もしくは10年間保証しますよ。というものです。

もしも、他社にリフォーム等で手が入ってしまうと、長期保証はなくなってしまいます。たしかに、長期保証の聞こえは良いですが、そもそも防水工事には、新築10年、改修5年の補償が基本的にあることからも、当初の施工会社にさせる必要はあまり感じません。

また、保証と言っても、地震や台風などの災害は保証されません。災害は、火災保険もしくは地震保険で賄うことになりますので、HMが負担することはないのです。逆に、保険を使って直す場合は、言い方は悪いですが、ボロ儲けしている可能性さえあります。

これからの時代、新築が大きく減っていくことが予想され、HMもリフォームやメンテナンス事業に注力するようになってきています。HMの長期保証では、出された見積もりで直すしかありません2年に1度行っているディーラーの車検と同じです。知識がなければ、相見積もりもとれず、言われたままの高いお金を払うしかなくなってしまうのです。

建物を定期的にメンテナンスをして、劣化したところはお金をかけて直していくということは、今後何十年も住んでいくうえで大変重要なことですが、HMの長期保証は、顧客の囲い込みの側面もあるという認識は持っていていただきたいと思います。

②型式適合認定の弊害

型式適合認定って何?という方がほとんどだと思います。型式適合認定というのは、HMが、『こういう建築材料でこうやって工場生産で造るから、確認申請とかの審査を簡単にして』ということで莫大なお金をかけて国に認めてもらったものです。

私が民間審査機関で確認申請(建物を建てるときに必要な手続きのこと)を審査していた際も、大手HMは型式適合認定を取ってるため、認定番号をチェックするだけで非常に簡単でした。

特に、鉄骨造の2階建て以上や木造3階建ての場合は、普通だったら100ページ以上ある構造計算書を審査するのに数日かかってしまいますが、番号をチェックするだけですので、一瞬で終わるため、HMにとっては大きなメリットとなります。

しかし、それが建築主(あなた)にとっては大きなデメリットになります。なぜかというと、将来的な増築などがその施工会社でなければできなくなってしまうからです。可能性は低いですが、法改正によって増築自体ができなくなる可能性もあります。事実、型式適合認定ができる前に38認定というのがあったのですが、今は法改正があり条件により可能ですが、一時期一切増築ができないということがありました。

当初の施工会社しか工事ができないということは、相見積もりを取ったり安い施工会社に一切頼めなくなります。

もしも、施工会社が倒産してしまったら、一切増築ができないというのも大きなリスクになります。

型式適合認定は、大手のHMだけですが、型式適合認定の建物になるか必ず確認して、デメリットを十分に理解したうえで、判断してください。

③コストがかかる

これは言うまでもないですが、建築費が高いです。メーカーによりますが、坪単価は70万円以上が当たり前です。

あれだけ展示場を出して、キャラクターショーまでやらせて、CMをバンバンやっていれば高くなって当然と言えるでしょう。

一方、営業活動が活発なため、着工戸数も多く、大量発注により設備や材料が安く優先的に手に入り、建物自体は安くできるということはあります。

また、デメリット①、②の理由により、メンテナンス費用も高くつくことになりますので、建物のトータルコストで考えて、工務店との比較をしていただければと思います。

工務店のメリット

前述したように、工務店は、約4割の方が選択しています。その理由となるメリットは

①設計の自由度が高い

HMでは、規格製品のため窓の大きさや間取りなどで制限がある場合が多いです。その点、工務店では法的な制限を除いては制限がありません。

ただし、一般的な木造だと短辺4m以上の空間は構造上難しいですので、木造の場合はご注意ください。工務店によっては大断面集成材や鉄骨を合わせることで大空間をつくれる工務店もありますので、一度工務店に聞いてみてください。

②地元密着していて地元のことがわかっている

『HMは日本のまち並みを壊した』という方がいらっしゃいます。言っていることは間違っていないと思います。HMというものは、日本特有のビジネスモデルで、海外ではほとんど見られず、多くの住宅は地元の大工、工務店が建てているのです。

HMというビジネスモデルが出てこなければ、日本のまち並みは全く違っていたと思います。

まぁそれは、言ってもしょうがないことですので、今の風景が日本のまち並みです。ただ、地域特有のものは多く残り、地域の特性もあります。

そのようなことからも県外から来ている営業や設計者のHMより、地元がわかっている地元の工務店の方が安心できます

③価格が安い

HMに比べて、営業活動や広告、技術開発にお金を使っていないため、工事価格は安くなることが多いです。ただし、HMは大量発注や特別なルートにより、材料費を抑えられている部分もあります。また、パワービルダーと呼ばれるローコスト住宅を提供する住宅会社は、工務店では理解できないほどの低コスト(坪30万円程度)で提供しています。

価格については、外壁や、断熱、設備などのグレードにより大きく左右されるため、価格だけでは比較できません。標準仕様やグレードを確認して、判断する必要があります。

④アフターメンテナンスが安心

工務店が近い存在のため、何かあったときに気軽に話ができる安心感があります。HMでは、信頼できる営業や設計が見つかっても、いつ異動になって、その支店にいなくなるかわかりません。

工務店の方が、ビジネスライクではなく、親身になって建てたあとのことまで相談してくれることが多いのがメリットといえます。

工務店のデメリット

工務店のデメリットについても、以下の2点は必ず理解をしておいてください。

①長期優良住宅やZEHに対応できない可能性がある。

ZEH・・・ゼロエネルギー住宅。1年の住宅のエネルギー消費量を概ね0とする住宅。

長期優良住宅の現状(国土交通省)によると、新築着工のうち、長期優良住宅の認定を受けたのが、全体で24.6%に対して、工務店(年間供給量50戸以下)では、12.6%とまだまだ低い水準です。

長期優良住宅はどうしてもコストがかかるため、敬遠されがちですが、現代においては、最低レベルの基準だと私は思います。

規模が小さい工務店だと、長期優良住宅自体を理解できていない工務店もあります。

長期優良住宅をとれるかどうかで、最新の技術や法律などにどれだけ向き合っているかなど、工務店の方針や信頼度もわかります。

また、ZEHについは、長期優良住宅より、断熱性能を高くしなければならずハードルも上がります。工務店レベルではまだ一般的になるほどにはなっていませんが、今後国としては、2030年までには、標準仕様にしようとしています。

最低でも長期優良住宅レベルでないと、数年後には『あなたの家は現在の法律に適合していないですよ』ということになってしまう可能性もあります。

実際に長期優良住宅を取るかどうかは別として、長期優良住宅に対して、どのように取り組んでいるかは大変重要なことですので必ず確認をするようにしてください。

長期優良住宅に関するの記事はこちら👇

②大工さんの腕によって品質が左右される

プレハブ住宅と呼ばれる大手HMは、工場生産のため、画一的な品質が確保されています。

一方、工務店が中心とする在来工法は大工さんなどの職人の腕によって品質が左右されます。

特に、床材を無垢材にしたいという場合は、経験豊かな大工さんかどうかで、のちのちの出来栄えや不具合の出方が変わってきます。

ほとんどの住宅がプレカットで、木材の加工は専用工場で行っていますが、手刻みで行っている(私のプロフィール写真のように)大工さんも少なからずいます。

手作りの昔ながらの家を建てたい方は、ぜひ手刻みで家を建てられる昔ながらの大工さんを探してみてください。ちなみに私の自宅は完全手刻みの長期優良住宅です。

工務店においては、基本的に大工さんを選ぶことはできないですが、営業とも相談して、どんな大工さんが施工をしてくれるか、しっかりと確認をしておく必要があります。

まとめ

最後に、HMと工務店のデメリットをおさらいします。

HMのデメリット

①長期保証という名の囲い込み

②型式適合認定の弊害

③コストがかかる

工務店のデメリット

①長期優良住宅やZEHに対応できない可能性がある

②大工さんの腕によって品質が左右される

メリットは、みなさんが良いと思ったことがメリットです。

やはり、デメリットをしっかりと理解したうえで、HM、工務店選びをすることが後悔しない家探しの重要なことですので、理解した上でご検討いただければと思います。

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