【2020年】太陽光発電を住宅に設置すべきかがわかる一発方程式!

最近は、本当に太陽光発電が増えたな~っと思いますよね!?

東日本大震災以降、国の強烈な推進により一気に導入されました。私も昨年、新築をして屋根に載せました。

新築を建てる時、ソーラーパネルを屋根につけるか悩みますよね?

やっぱり心配なのは、その投資に見合った利益が出せるかだと思います。

実際にその見積もりで利益が出せるのか、すぐにわかる『一発方程式』を使ってお伝えしていきます。

※ただし、一発方程式は、設置検討の参考として概算で利益を算出するもので、利益を保証するわけではありません。自己責任のもとお使いください。

2020年の売電価格

3月23日に👇のとおり住宅用太陽光の売電価格が決定しました。

10kW未満 21円(税込み)売電期間10年間
10kW以上 13円(税抜き)売電期間20年間(※「自家消費比率」と「地域活用条件」の追加認定条件あり)

※自家消費比率の条件:つくった電気の30%以上を自分たちで消費する。
※地域活用条件:災害時につくった電気を、パワーコンディショナーから直接コンセントで使えるようにする。

相談者
相談者

売電価格がどんどん下がっているって聞くけど、いま屋根に載せても本当に利益は出るの?

ハスキュー
ハスキュー

たしかに、売電価格は下がっていますが、設置費用も同じように下がっていますので、昨年までは十分に利益は出せていました。では2020年はどうなのか、まずは設置価格の推移からみていきましょう。

システム費用の変化

資源エネルギー庁の調査によると10kW以下の場合

出典:資源エネルギー庁2019年11月資料

10kW以上の場合

出典:資源エネルギー庁2019年11月資料

グラフを見ると、年々設置費が下がっていることがよくわかります。

2020年の新築の場合の平均設置費を推測するとは

10kW未満の場合 29.0万円/kW

10kW以上の場合 25.0万円/kW

程度になるのではないかと思います。

2012年からの減少率で言うと、10kW未満が33%の減10KW以上が41%の減となっています。

売電価格の減少率に比べれば、平均設置費用の方が下がっていないと言えますが、利益は単純に減少率だけで比較できません。また、売電価格は、誰がどこで設置しようと同じ金額ですが、設置価格は業者によって大きく変わります。

実際に利益を出せるかどうかは設置費用をどれだけ抑えられるかが大きなポイントです。

相談者
相談者

う~ん、設置費用が下がったのはわかるけど、ほんとに利益がでるか心配だな~。

ハスキュー
ハスキュー

ホームページとかを見ても営業トークばかりで、ほんとのところを知りたいですよね。

ハスキュー
ハスキュー

今回、私が独自で利益がでるかすぐにわかる20年収益一発方程式をつくりましたので、こっそり教えちゃいます!

20年で利益がでるかすぐにわかる一発方程式

投資目的で考えると、太陽光のパネルの寿命が20年~30年と言われています(実際はもっと長い)ので、20年間で利益が出せるかがポイントになります。

業者から出される収支シミュレーションは、一般的に、パワコンの取替費やメンテナンス費用、撤去費用などの諸経費を見込んでいないため注意が必要です。パワコンは15年保証などの商品も出てきていますが、16年目に壊れるリスクもあります。

また、20年後に売電ができなくなったりした場合、撤去費用が必要になるリスクもあり得ます。

投資をするべきかについては、そのようなリスクも考慮する必要があります。

それらのリスクを踏まえた上での、20年収益一発方程式がコチラ⇩になります。

10kW以下の場合

【太陽陽光発電20年利益】=

35万円/kW ×【設置容量】kW ー【設置費】万円 - 20万円

10kW以上の場合

【太陽陽光発電20年利益】=

32万円/kW ×【設置容量】kW ー【設置費】万円 ー 5万円

注意ポイント

(注1)10kW以上は、追加認定条件が付いているため、別に蓄電池や電気自動車の導入が必要になる可能性が高い

(注2)10kW以上は、電線工事の自己負担金(10万円から数十万円)が請求される可能性があるが考慮していない。

(注3)概算での方程式のため、導入する際は、詳細の検討が必要

設置するかの目安

上記計算式の結果が20年間の概算総利益になります。

投資の観点からいけば、20年間の利回りを最低0.5%は確保したいところですので、

ローンを組まない場合 ⇨ 上記の結果が設置費用の10%を上回っているか

ローンを組む場合   ⇨ 上記の結果が設置費用の25%を上回っているか。
※30年間の固定金利1.5%を想定

が概ねの目安となります。

ポイント

太陽光発電は、投資的目的だけでなく、防災対策や温暖化対策にもつながり、こどもたちの将来にとっても重要なことなので、総合的な判断をお願いします。

20年収益一発方程式の使い方

相談者
相談者

とりあえず見積もりを出してもらったら、8kWを200万円(25万円/kW)で設置してくれるみたいだけど、これってどうなの?

ハスキュー
ハスキュー

では、一発方程式に当てはめてみましょう。

条件:設置容量8kW、設置費用200万円

⇨10kW以下の方程式より算出

35万円/kW×8kW-200万円ー20万円

60万円

結果より、太陽光発電に200万円を投資して、20年間で60万円の利益ということです。

利益が1年当たり3万円、年利回りは1.5%になります。

30年間の利率1.5%のローンを組んでいたとしても、13年間のローン減税を考慮すれば、0.78%程度の利回り(※)は確保できるので、この低金利の時代に良い投資であるといえるのではないでしょうか。

※住宅ローンに太陽光発電設置費用を含めるには、建築会社との一括契約などの条件がありますのでご注意ください。

相談者
相談者

けっこう利益になるのね。災害時にも助かるし、こどもたちの将来のためにも設置してみようかしら。

ハスキュー
ハスキュー

こどもたちのためにも、まずは一括見積を出して、是非検討してみてください。

(参考)0.78%程度の利回りの根拠

200万円を利率1.5%の30年ローンを組んだ場合、総返済額は約249万円。

ローン減税による13年間の総減税額は、概算で

{200万円ー200万円×(13年/2)/30年}×1%×13年

20万円(※融資開始6.5年経過時点のローン残高の1%を13年間分として算出)

(参考)みずほ銀行ローンシミュレーションでも概算で確認済

 

30年間の利子支払い分は49万円ー20万円=29万円程度

20年間の利回りは、

(60万円ー29万円)/(20年×200万円)}×100

0.78%

ただし、所得税や諸経費はかからないと仮定。

20年利益一発方程式の根拠

ハスキュー
ハスキュー

一発方程式の使い方は理解できましたか?
では、ここからは、さらに数字が並んでわかりにくいですが、一発方程式の根拠をみていきましょう。

まずは、計算式の算出は、一定の仮定に基づいて行います。
今回の一発方程式の仮定条件は以下のとおりです。

太陽光の発電量は1kW当たり100kW/月
FIT終了後の売電価格は9.3円(経済産業省がシミュレーションしている数字)
・一般家庭の年間自家消費量は1,000kW
・一般家庭の電力会社からの買電価格は27円/kW(税込み、省エネ賦課金込み)

自分の家の実測値やさまざまな資料などから安全側の数字として総合的に算出しています。

10kW未満の場合の一発方程式の算出法

10kW未満の場合の1kW当たりの収支をまず算出します。

20年間の売電収入は

1年間の発電量

太陽光の発電量は、1kW当たり100kW/月の仮定より

100kW/kW・月×12か月=1,200kW/年・kW

1年間の売電収入

10kW未満の2020年の売電価格は21円/kWのため

1,200kW/年・kW×21円/kW=25,200円/kW

10年間の売電収入

25,200円/kW×10年=25万2千円/kW

10年目から20年目の売電収入としては

FIT制度後の売電価格を9.3円/kWと仮定して、10年以降は発電効率が10%落ちると仮定すると

1,200kW/年・kW×0.9×9.3円/kW×10年

10万円/kW

・20年間の売電収入は

25万2千円/kW+10万円/kW

35万円/kW

自家消費分の買電価格との差額による利益

10年目までは

買電価格を27円/kW、自家消費量を年間1,000kWと仮定すると

(27円/kW-21円/kW)×1,000kW×10年

6万円

10年目から20年目は

売電価格9.3円とすると

(27円/kW-9.3円/kW)×1,000kW×10年

17万7千円

・20年間の差額利益は

6万円+17万7千円

24万円
※この費用は、1kW当たりでなく、1設備当たりの収益

20年目に撤去解体すると仮定した維持管理経費

①メンテナンス費:14.5万円
※4年に1回2.9万円と仮定(資源エネルギー庁の調査より)

②パワコン取替費:20万円
※パワコンの耐久年数15年で1回取替を想定。場合によっては2台分。

③撤去&処分費:10
※外壁改修の際等に合わせて撤去するとして、足場は見込まない。

合計44万円
※この費用は、1kW当たりでなく、1設備当たりの費用

これらをまとめて計算式にすると

10kW未満の太陽光発電の20年収益一発方程式は

【太陽陽光発電20年利益】=

35万円/kW×【設置容量】kW-【設置費】万円+24万円ー44万円

35万円/kW ×【設置容量】kW ー【設置費】万円 ー 20万円

10kW以上の場合の一発方程式の算出法

まず条件の再確認をしたいと思います。

2020年の10kW以上の売電価格は、13円(税抜き)(追加認可条件あり)です。

追加認可条件とは

 ①発電量の30%以上を自家消費すること
 ②災害時に使用できるコンセントを設置すること

の2つです。

②はコンセントを付けるだけですので、良いですが、①はなかなか難しい条件です。

10kWの太陽光発電設備を付けた場合、1ヵ月の発電量は約1,000kWです。

30%とすると、300kWを自家消費しなければなりません。

一般的な家庭の昼間の使用電力量は、80kWから200kW程度です。

300kW以上にするには、蓄電池や電気自動車を導入する必要があります

10kW以上の太陽光発電は、産業用のため、もともと屋根に載せる想定をしていません。そのため住宅で10kW以上を載せるのには、かなりハードルが高くなってしまいました。

10kW以上の場合は、それらを考慮して考えなければいけません。

蓄電池については、また別途記事にまとめたいと思います。

20年間の売電収入は

今後20年は消費税が変わらないと想定して、売電価格は14.3円(税込み)で検証します。

(雑記)コロナの影響で、消費税を減税すると売電価格が下がってしまうということにこれを書いていて今気づきました。私も15.75kWを載せているので、もしも消費税を引き下げると収益が一気に落ちてしまいます。10kW以上の産業用の太陽光事業としては、減税は死活問題となるかもしれません。

1kW当たりの1年間の売電収入

太陽光の発電量は、1kW当たり100kW/月の仮定より

100kW×12か月×14.3円=17,160円/kW

・20年間の売電収入
10年目以降は、10%効率が低下すると仮定して

17,160円/kW×10年+17,160円/kW×0.9×10年

32円/kW

自家消費分の買電価格との差額による利益

平均の電気料金を27円/kW、昼間の自己消費分年間1,000kWと仮定して

20年間の差額による利益は

(27円ー14.3円)×1,000kW×20年

25万円

20年目に撤去解体すると仮定した維持管理経費

維持管理費は、10kW以下と同様に考え、容量が大きいため、、

パワコン1台(20万円)と処理費(5万円)を上乗せして

44万円+20万円+5万円

70万円

これらを10kW以下の場合と同様に計算式にまとめると

10kW以上の太陽光発電の20年収益一発方程式は

【太陽光発電20年利益】

32万円/kW×【設置容量】kW-【設置費】万円+25万円ー70万円

32万円/kW ×【設置容量】kW ー【設置費】万円 ー 45万円

設置するかの目安の判断の考え方

一発方程式により、20年間の利益がわかりました。

では、その利益が、投資金額に見合ったものなのかがわからなければ投資の判断ができません。この低金利の時代ですので、なかなか良い投資方法は少ないですが、20年の利回り0.5%を確保できるかどうかを投資の一つの目安として考えていきたいと思います。

利回りの計算式

ローンを使わない場合

A:20年間の利益[万円]
B:太陽光発電設置費[万円]

A /(20年× B )=0.5%[利回り]
A = 0.5/100×(20年× B 
A = 0.1B

以上より、ローンを使わない場合、利回り0.5%を確保できるかどうかは、20年間の利益が設置費の10%以上が目安です。

設置費Bの全額をローンとする場合

:ローンの利子分を除いた20年間の収益[万円]
C:ローン減税の減税額[万円]

ローンを30年固定金利の1.5%と仮定すると、総利子額は概ね0.25×Bとなる。

現在のローン減税の制度が、13年間1%の減税のため、概算として、中間の6.5年時のローン残高に13年間1%の減税があるとすると

C=(BB×6.5/30)×1.0%×13年間

=0.1×B

0.5%の利回りを確保するには

/(20年×B)=0.5%
=0.1×B

は、20年間の太陽光の利益から、総利子額を引いてローン減税額を足せば良いので、

Aー0.25×BC
 =A-0.15×B

これらを合わせると

A=0.1×B+0.15×B
 =0.25×B

以上より、ローンを使う場合、利回り0.5%を確保できるかどうかは、20年間の利益が設置費の25%以上が目安です。

ハスキュー
ハスキュー

う~ん、算出方法もなかなか難しいですね。説明している僕つかれちゃいました。。。一発方程式は、あくまで、一括見積をした後の初期の検討における概算の計算になりますので、実際の契約前には、これをを参考にして、詳細な検討をしてください。

設置費単価の目安を知ろう

太陽光発電の見積もりを出すと、1kW当たりの設置費で、業者を比較します。

では、10kW未満の場合と10kW以上の場合で、利回り0.5%が確保できる設置単価の目安を検証してみましょう。

10kW未満の場合

条件:
・設置容量6kW
・住宅ローンを使う

とすると、一発方程式より

35万円/kW ×6kW ー【設置費】万円 - 20万円 = 0.25×【設置費】

【設置費】= (210万円ー20万円)/1.25

     152万円

【設置単価】=152万円/6kW

     =25.3万円/kW

以上より、6kWの設置の場合、利回り0.5%を確保するには、設置単価を25.2万円/kW以下に抑える必要があると言えます。

なお、同様にして、8kWの設置の場合設置単価は26.0万円/kW以下という結果でした。

10kW以上の場合

条件:
・設置容量10kW
・住宅ローンを使う

とすると、一発方程式より

32万円/kW×10kW - 【設置費】万円 ー 45万円 = 0.25×【設置費】

【設置費】=(320万円ー45万円)/1.25

     =224万円

【設置単価】=224万円/10

     =22.4万円

以上より、10kWの設置の場合、利回り0.5%を確保するには、設置単価を22.4万円/kW以下に抑える必要があると言えます。

なお、同様にして、5kWの設置の場合設置単価は23.2万円/kW以下という結果でした。

注意ポイント

10kW以上の場合は、蓄電池や電気自動車の導入が必要になる可能性が高いことや、電線工事の自己負担金(10万円から数十万円)、固定資産税がかかる可能性があるので、その分リスクが高く、そのリスクを踏まえた余裕を持った利益の確保が必要になります。

【余談】片流れ+全面太陽光の住宅がなくなる?

前述のとおり、2020年から10kW以上の住宅用太陽光発電のメリットが大幅に減りました。

近年、そこらじゅうで見るようになった片流れ+全面太陽光の住宅が、今年から一気に新築されなくなるかもしれません。ちなみに私の自宅も片流れ+全面太陽光です。

昔ながらの純和風の家には、やはり太陽光発電は合わないと思います。瓦屋根は瓦屋根の良さがあります。日本の伝統を守りながら、より魅力的な街並みにつながるきっかけになれば良いと思いますが、なかなか難しいと思います。

ハウスメーカーによっては、技術開発によって、屋根材自体を太陽光パネルにしているところもあります。デザイン性を重視しながら最新技術を取り入れていくのは、大手ハウスメーカーの強みと言えるでしょう。

環境面からも太陽光は導入するべきと思いますが、自宅が片流れの私が言うのもナンですが、建築士として、似たような画一的な家が並ぶ街並みでなく、それぞれの個性を持った家が建ち並ぶ楽しくてウキウキするような街をつくっていきたいですね

設置費を下げる方法

太陽光発電のリスクを減らして、利益を得るには、設置費用を抑えることが最重要ポイントです。

そのためにはとにかく、相見積もりを多くとって信頼できる業者をみつけることしかありません。

手法としては、

  • インターネットでの一括見積もり
  • 住宅会社への見積もり
  • 地元太陽光工事会社への見積もり

などがありますが、

おすすめポイント

私としては、インターネットでの一括見積もり地元工事会社への見積もりおススメです。

住宅会社への見積もりも悪くないですが、マージンを取られる可能性も高いですし、専門としているわけでないので、比較的高額になる可能性が高いです。

地元工事会社は、広報誌や広告で掲載している業者も多いですので、探してみてください。

ちなみに私は、地元工事会社に直接発注をして、2018年に15.75kWのパナソニック製太陽光発電を

1kW当たり21.6万円(税込み) 総額340万円(税込み)で設置してもらいました。

収入としては、1年間で、約38万円でした。自家消費を考えれば1年間で40万円以上になりますので、9年程度で元を取ることができそうです。

最後に

20年間の利益がすぐにわかる一発方程式の使い方は理解していただけたでしょうか?

私が一発方程式から算出したものとしては、

10kW未満の容量の場合、設置費用を25万円/kW(税込み)以下、

10kW以上の容量の場合、設置費用を22万円/kW(税込み)以下

を目安に、検討するのが良いと思います。

ただし、10kW以上の場合は、蓄電池などの注意が必要ですので、より慎重にご検討ください。

また、利回り0.5%での数字となっていますので、検討する際は、必ず個別に計算をして、十分な利益がだせそうか判断してください。

2020年のFIT制度では、太陽光発電を屋根に載せるのは、かなりメリットが減ったと言えます

これでは、太陽光発電をつける住宅も減ってしまうのではないかと危惧しています。

もともと、2020年には、省エネ法が改正され、省エネ住宅が義務化される予定でした。

しかし、小規模工務店などの対応が追い付かないということもあり、義務化は見送られ、設計者の施主への説明義務化となりました。省エネ住宅の義務化がされれば、さらに太陽光発電は普及するのではないかと考えていましたが、この制度では、住宅用太陽光発電の普及はさらに減速する可能性が高いです。

太陽光発電と蓄電池を設置は、温室効果ガスの削減につながり、こどもたちの未来にも大きく貢献できること、そして災害時の安心・安全もなります

是非投資目的だけでなく、総合的な判断をして、太陽光発電の前向きな検討をしていただけばと思います。

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