注文住宅の仮契約でこれだけは押さえるべき7つのポイント

建築会社選びをしていて業者が絞られてくると、仮契約を求められることがあるのではないでしょうか。

建築会社の営業としては、できるだけ早く仮契約を取って営業実績をつくりお客様を抱え込もうと必死です。

会社としても、営業が書く平面図までは、無料で行ってくれますが、詳細の設計を行うには、多くの労力と費用がかかることからも、キャンセルの抑止力として仮契約を求めます。

仮と言えども、書面へのサインや申込金などの支払いもあり、立派な契約行為になりますので本契約と同等、もしかすれがば、本契約以上に慎重な判断が必要です。

間取りもまだだし、ましてや建築費もわからない状況で仮契約なんてできない!』と思われる方も多いのではないでしょうか。

住宅ではありませんが、契約書を締結せずに多くの図面の作成などをした基本設計料が認められなかったという判例があります(下記参考)。しかし、建築士の立場からは、専門的な知識と技術が必要な基本設計を無料で行うことは、建築士の地位をあまりにも下げてしまう行為であり、あっては ならないことだと考えます。

参考:「図面作成は営業活動」と設計料の請求を認めず(日経クロステック)

専門的知識・技術をもった建築士に対価を払って設計行為をさせるための仮契約という認識をもっていただければ、この特有の制度についても幾分か抵抗がなくなるのではないでしょうか。

法的には、建築工事の中には位置づけられてはいませんが、一歩間違えれば、一生後悔する原因となります。

今回は、建築士の立場から、ここだけは気を付けるべき7点を解説します。

これだけは押さえるべき7点

①仮と言えども、本契約と同等の気持ちで契約する

仮でも、一度締結すれば破棄をするのには、高いハードルがあります。

「仮なのでいつでもキャンセルできるから大丈夫」という文句で、営業担当が言ってくればそれは逆に信用できない会社の可能性もあります。

契約破棄は可能ですが、後悔しない家づくりをするのには、建築主と建築会社がお互いに信頼関係をもった気持ちの良いプラン作りが大切です。

仮契約の締結は、半信半疑ではなく、『この会社で最高の住宅をつくりたい!』という思いで行いましょう。

リスクはできるかぎり減らすためにも、慎重な判断が必要です。

②まずは土地や建築時期を確定させる。

建築会社(特にハウスメーカー)の営業は、今なら値引きができる』とか『坪単価が高くなるといろいろな理由をつけて、土地や建築時期の確定前に仮契約を求めてくる場合があります。

前述のとおり、 『専門知識をもった建築士に対価を払って設計行為をさせるための仮契約 』です。土地が決まらないと設計なんて絶対にできません。

土地や建築時期を確定していない段階で仮契約を無理に求める時点で、私だったらその会社は信用しません。

ただし、親族関係が働いているなど、絶対に会社を変えない自信がある場合は、早期割引があるなら、検討もアリではないでしょうか。

③要望を全て伝え、仕様を決定しておく。

仮契約前に要望を全て伝えて、キッチンやお風呂などの仕様も全て決定するべきです。

仕様までお任せすると、割引や無料追加工事を理由に、知らぬ間にその減額分として仕様を落とされたりすることもありえますので注意してください。

④地盤調査を行い、全ての工事を見込んだ見積もりを出す

地盤調査を行って、杭や地盤改良が必要か判断をして、全ての工事を見込んだ見積もりを出してもらってください。

地盤調査の結果によっては、100万円以上高くなることもあります。そうなってしまうと、資金の状況によっては、建物の仕様にも影響が出てきてしまい、最悪、建築会社を変えることになってしまう可能性もありますので、必ず地盤調査をしてください。

⑤高額な申込金の場合は断る

申込金(手付金)は通常10万円前後です。業者によっては100万円を求められることもあるようです。

申込金は、もしも会社が倒産してしまった場合、返ってこないリスクもあります。

そもそも、申込金がなければ経営できないような会社でしたら、信頼できる会社とは言えません。

申込金が高すぎる場合は、その時点で信頼できる会社か心配になるところです。申込金が50万円を超える場合などは、なぜそれだけの申込金が必要なのか、金額の根拠を明確に聞くのも良いでしょう。

住宅大手でも、申込金として100万円を設定している企業もあるようですが、大手の場合は倒産のリスクは低いと言えます。そんなに高額なのはいかがなものかと個人的には思いますが・・・

⑥契約破棄の場合の申込金の扱いを明記する

仮契約を破棄した際に、申込金が返金されるかは、仮契約書の内容によります。

私としては、専門家である建築士が詳細設計を行っているので、掛かった費用を業者が請求するのは当然だと考えますが、契約書に明記があれば申込金は返金されます。

破棄のタイミングで企業の損失も大きく変わりますので、「設計行為までなら30%減額して返却する」等、状況に応じた違約金となる場合もあります。

営業から「キャンセルとなれば、申込金は全て返却する」との発言があれば、その文言が仮契約書に記載されているか必ずご確認ください。

⑦〇月末までに仮契約をしたら○○万円引きには惑わされない

ハウスメーカーの営業トークに惑わされないでください。期間限定の値引きに魅力を感じることはわかりますが、値引きにも理由があります。

値引き前の仕様を確認しましたか?標準仕様って何ですか?
知らない間に、仕様を下げられているかもしれません。

もちろん、仕様等を落とさずに値引きをしてくれる場合もあります。

『絶対に建築会社はそこに決めた!』と思っているなら、止める理由はありませんが、少しでも悩んでいるようでしたら、値引きを理由に仮契約をするのはおススメできません。

相手方もビジネスですから値引き分のコストカットは何かしら考えるのが、できるサラリーマンです。

営業トークに惑わされないで、是非、慎重なご判断をしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

最後に言いたいことのは、

『仮契約は軽い気持ちでしたら絶対にダメ!!』

です。

システム的には、日本の住宅業界で注文住宅をつくるためには致し方ない制度だと思います。

インターネットで何でも調べられる時代で、さまざまな専門家の価値が失われつつあります。

『こだわりの注文住宅をつくるため、設計のプロにお金を支払った』という考えも重要です。

信頼できる建築会社に対して、人生最大の投資を依頼する大きな仮契約です。

本記事を参考に慎重で確実な判断によって、幸せな未来につながるお手伝いとなれば幸いです。

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