残りの人生の自宅で過ごす時間から住宅の重要性を考える

マイホーム探しやリフォームの検討をしていると、どうしてもゆずれないことがでてきます。

しかし、手持ち資金と年収、将来計画を考えながら、いろいろなことに悩むと思います。

でも、安いことを理由に決めて良いでしょうか。

自宅が、人生にとってどれだけ重要なものなのか。残りの人生のどのくらいを自宅で過ごすのか考えてみましょう。

在宅時間

現在、1日のうちでどれくらい自宅にいますか?

私は、設計事務所という仕事柄、自宅で過ごす時間は多いですが、職業等によって大きく違います。

自宅にいる時間は、大変大切なものです。コロナの影響によりその重要性はさらに高まってきています。

育児、家事、食事、だんらん、睡眠など人生にとって多くの時間を費やすことになります。

そのことからも住宅づくりは、リラックスして心地よい、無駄のない空間、間取りとすることが大変重要です

国民生活時間調査

NHK文化研究所が行っている国民生活時間調査の在宅時間結果が下の表になります。

2015年国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)

当然ではありますが、年代や性別によって大きく変わります。

調査年ごとみていくと、平日の女性の在宅時間が大きく減ってきているのが特徴です。これは、働く女性の増加が在宅時間にも影響してきているということが言えます。

一年間の平均在宅時間

上記調査は、平日と休日それぞれの調査になります。今回は、人生のうちの在宅時間を調べたいため、1年間の平均在宅時間に直す必要があります。

2020年の休日日数は124日(土日祝日、夏休み8/13~8/16、年末年始12/29~1/3と仮定)になるので、平日は365日(うるう年ですが通常年として算出)のため、平日は241日となります。

休日の内、土曜日は、52日あり夏休み、年末年始を日曜と換算すると土曜日の生活時間は年間50日となります。

まとめると平日241日、土曜日50日、日祝日74日となります。

これらから、1年間の平均在宅時間を算出すると

  平均 家にいる割合
全体 15:56 66%
10代 14:22 60%
20代 13:26 56%
30代 12:49 53%
40代 12:57 54%
50代 13:31 56%
60代 15:50 66%
70代以上 18:45 78%
10代 14:30 60%
20代 13:49 58%
30代 16:18 68%
40代 16:00 67%
50代 16:12 68%
60代 18:12 76%
70代以上 20:06 84%

全体の平均としては、66%を家で過ごすという結果になりました。

男性で言うと、40代以降の平均で64%

女性で言うと、40代以降の平均で73%です。

これらから、新築を検討している住宅には、残りの人生の6割~7割の時間を費やすいうことがわかります。

年代ごとの睡眠時間

NHKの調査では、睡眠時間についても調査されています。

2015年国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)

データを見て30代から50代の働き盛りの平日の数字を見てみると95年に比べて、睡眠時間が大きく減ってきています。95年は、バブル崩壊後ではありますが、『24時間たたか~えますか?』のCMがあった直後の割には、今に比べて睡眠時間が長かったことがわかります。

1年の平均睡眠時間を在宅時間と同様の手法でまとめると

  平均 1日の割合
全体 7:28 31%
10代 8:05 34%
20代 7:41 32%
30代 7:22 31%
40代 7:09 30%
50代 7:10 30%
60代 7:29 31%
70代以上 8:10 34%
10代 8:01 33%
20代 7:38 32%
30代 7:21 31%
40代 6:59 29%
50代 6:45 28%
60代 7:11 30%
70代以上 7:53 33%

睡眠時間は、平均で7時間28分で、1日のうちの31%を睡眠に費やしています。

「俺の睡眠時間はもっと短い!」と主張される方も多いと思いますが、年代ごとの平均値としてご理解ください。

女性の方が、睡眠時間が短いというのは、やはり家での仕事が多いことが理由だといえます。

住宅の重要性から考える特に配慮するべき3つのポイント

NHKの調査から残りの人生の約6割から7割を自宅で過ごすことがわかりました。睡眠時間を除いた場合、3割~4割程度です。

それだけ、住宅というのは、人生にとって大きなウエイトを占めると言えます。人生の大半を自宅で過ごすということからも、以下の3点に特に配慮が必要です。

①耐震性

建物は24時間存在し、地震が起きても逃げることはできません。在宅時間に地震が襲う確率も6割以上になります。自分の命、家族の命、財産を守るためにも、耐震性には十分な配慮が必要です。

②快適性

住宅で長時間過ごすというこは、気持ちよく過ごせることが人生の幸福感につながります。特に断熱性能には配慮し、地域の気候に合わせた性能を求めてください。やっぱり冬に暖かい住宅って気持ちも豊かになります。

また、健康志向の高まりからも自然素材の使用もおすすめします。木の温かみやにおい、肌触りなど、自然素材の活用は残りの人生の豊かな生活につながります。

③無駄のない動線づくり

特に家事動線には、配慮する必要があります。上記NHKの調査によると1日のうち家事に費やす時間が女性で4時間以上、男性で1時間以上となっています。家事動線を短くした間取りとするだけで、人生にとって有効な時間を大きく増やすことが可能です。

まとめ

人生の6割以上を過ごす住宅は、あなたの幸福度を決める大変重要な存在です。

住宅の計画をしていると、どこかで妥協する部分がたくさん出てきます。限られた時間と資金のなかで決めなければならないため、妥協も必要です。

しかし、そういう時こそ、計画中の住宅が、人生にとってどれだけの存在であるのか、立ち返って考えてみましょう。

それができればきっと、幸せな新築生活が迎えられるはずです。

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