【経験談】親との完全同居からの近居という選択、その人気の秘密とは?

『近居』という言葉をご存知ですか?

みなさんも、親の将来が心配。こどもの面倒を見てほしい。お金を貯めたい。など理由は様々ですが、一度は親との同居を考えたことがあると思います。

しかし、完全同居というのは、それまで全くの他人だった人と、それぞれの価値観の中で、それぞれの生活を共にしなければならないため、簡単なものではありません。

そうした中、近年増えているのが、親の居住地から多少離れたところに暮らす『近居』です。

ちなみに私は、私の両親と7年間『完全同居』をして、昨年敷地内に新居を建てた『隣居』をしています。

アンケート調査データに基づきながら、『完全同居(以下同居)』、『隣居』、『近居のメリットとデメリット、私の体験談、そして『近居』の人気の秘密を探っていきましょう。

『同居』、『隣居』、『近居』の定義

『同居』・・・1つの家で、玄関、キッチン、トイレ、お風呂などを親世帯等と共有する。キッチンやトイレだけ別だったり、食事は別にしたりと様々なパターンがあるが、本記事では玄関が1つの場合は同居とする。

『隣居』・・・基本的には、敷地内若しくは隣接地に別の建物を建てて暮らすこと。建物がつながっていても玄関が別で、生活が干渉されない二世帯住宅も隣居とする。

『近居』・・・親世帯と数分から1時間以内のところで暮らすこと。どこまでの距離を近居と定義するかは難しいが、毎日通える範囲程度の距離。

三世代同居の推移

厚生労働省が公表している65歳以上の者のいる世帯構造の推移データがこちらです。

平成30年国民生活基礎調査(厚生労働省)

データからわかるとおり、三世帯同居の割合が一気に減っていることがわかります。1980年代は4割以上が祖父母世帯と同居してたのが、現在は65歳以上がいる全世帯のうちの10%となっています。

暮らし方がここ30年で大きく変わっていることがわかります。

同居と近居の実態調査

まずは、世間の同居と近居の実態を調べたいと思います。

理想の家族の住まい方

内閣府が、理想の家族の住まい方を調査した結果が以下のとおりです。

家族と地域における子育てに関する意識調査報告書2015年(内閣府)

全国での抽出調査で、回答があった全体調査数1639件での結果になりますが、近居を望むのが、31.8%、同居を望むのた20.6%という結果になっています。また、女性の方が、同居より近居を望む割合が多い傾向があります。

全体でも、近居を望む割合が最も高くなっています。

同居と近居の割合

次に実際の同居と近居の割合ですが、ここでも内閣府が調査しています。この調査での『同居』とは同一敷地内に同棟の場合、『近居』とは、車・電車で1時間以内に通えるところとしています。また、複数回答可能のため合計が100%になっていません。

少子化社会対策に関する意識調査2018年(内閣府)を基に作成

この調査より、近居の割合が同居を大きく上回っているのがわかります。

同居・近居の理由

上記のアンケートにおける、同居や近居をしている理由がこちらです。

少子化社会対策に関する意識調査2018年(内閣府)を基に作成

データからわかるように、近居にした理由は、「たまたま近くだった」という理由が最も高く、半分以上を占めています。また、次に「子育てを理由に近くにした」約4人に1人程度です。

このアンケートの近居の条件である、車・電車で1時間以内というのは範囲も広く、どちらかの実家には、職場の関係等で自然と近くになりやすいですので、たまたま近くだったというのは参考程度に考えれば良いと思います。

同居にしている理由については、多少の差はありますが、生活費や子育てのため、親の要望等大きい差はない結果だったと言えます。

実態調査のまとめ

理想としている住まい方として、同居が20.6%、近居が31.8%に対して、実際の住まい方は、同居が18.3%、近居が35.2%と違う調査ですが、理想と現実は概ね一致していると言えます。

ただし、実際に近居をしているの理由は、たまたま近かったためが半分以上であり、同居の理由は、生活費がかからないためが27.1%と最も高くなっています。

国の方針としては、リフォームを推進することによって三世代同居を増やしたいとしていますが、生活費を少しでも減らすために仕方なく同居を選んでいる子育て世帯も多く存在するのがわかります。

『同居』、『隣居』、『近居』のメリット・デメリット

それぞれのメリットは、ある程度イメージができるのではないでしょうか。

後悔しない選択をするのにはデメリットをしっかりと理解しているかどうかが大変重要になります

将来に大きく関わることですので、メリットとデメリットを比較して慎重な判断が必要です。

『同居』のメリット・デメリット

メリット

同居する理由の通り、子育ての手助け、親の介護、生活費を安くできる等があげられます。

特に生活費については、全て一つの契約となるため、電気料金やインターネット料金などの基本使用料がかからず、NHK受信料や自治会費等も含めて大きな削減となります。

また、建替えないことによって、住宅投資も少なく済ませることで1,000万円以上の節約も可能といえます。

デメリット

同居は、恋人や夫婦と違い、恋愛感情がない全くの赤の他人と同じ建物で同じ時間を共有するというのは、かなりの覚悟が必要です。

特に、一般的に多くの家事を担う女性が旦那の家に住む場合のリスクは非常に高いです。

男性は、『自分の親と妻なら性格を考えても大丈夫だろう』と楽観的に考える場合が多いです。私もそうでした。

しかし、同居当初はうまくいっていても、思いもよらない事が起こるものです。意思が通じ合い認め合って結婚したのに多くの夫婦がさまざまな価値観の違いから離婚してしまうように、恋愛感情とは別に他人の家族と暮らす同居では、ちょっとしたことから簡単に亀裂が入ってしまいます。

昔から、嫁姑問題とはよく言いますが、両方の全ての生活をさらけ出す同居は、よりそれを増長させるものと言えます。

同居は、家族関係が良好に保てるかどうかが最大の課題であり、それがうまくいけばデメリットはほとんどないと言えます。

また、同居によって、同居世帯の家から世帯を持って出た兄弟や孫などが、実家に帰って来にくいこともありますので、周りの家族にも影響が出ていることも忘れないでください

隣居のメリット・デメリット

メリット

同居に比べて、隣居は生活が完全には干渉されないため、良い距離を保てると言えます。

また、生活費についても、電気料金やインターネット料金などの基本使用料の共有も可能です。NHK受信料や自治会費については、状況や地域によって変わりますので、注意が必要です。

生活費としては、隣居は近居に比べ、月5,000円~3万円程度は節約できるのではないでしょうか。

自治会活動についても、1世帯とみなされれば、さまざまな行事についても出なければいけないことが減ります。

親がすぐ近くにいることで、フォローを受けやすく、将来的な介護も行いやすいと言えます。

デメリット

近くにいる分、生活に干渉される割合は増えます。

友人が来たり、もう片方の親(隣でない親)が来たりするのもわかってしまうため、気を使ってしまい、あまり積極的にはできないことも多いです。また、隣だとどうしても生活が目についてしまい、精神的に落ち着かないとも言えます。

生活を始める前に、ある程度の取り決めをしておかないと、勝手に家に入ってきたり、予期せぬところでイザコザになってしまうため注意が必要です。

費用としても、新築や建替えに大きな投資が必要になりますので、それが同居を解消できない大きな要因ともなっています。

また、もしも離婚や夫婦別居になった場合、中古物件として売ることはかなり難しいことも一応頭の中に入れておきましょう。

近居のメリット・デメリット

メリット

近居は、ある程度の距離があるため、同居、近居に比べて、生活が干渉しません。

それぞれの世帯が良い距離を保って、お互いに助けてもらいたいときだけ助けてもらい、最も家族関係を良好にできると言えます。

将来的な自由度が高く、仮に離婚などによって建物を売らないといけなくなっても、売ることが可能です。さまざまな事象を考えれば、費用は掛かりますが、最もリスクが少ない住まい方と言えます。

デメリット

基本的に建物と土地を購入や新築、もしくは賃貸することとなり、投資が最もかかります。また、生活費も、完全に独立した生活となるため高いです。

1時間以上離れている場合に比べれば、子育てに口出しをされたり、ストレスを感じたりすることはあります。しかし、その分手伝ってもらっているという意識があれば全く問題がないレベルで、もし関係が悪くなれば、関係を極力減らせば問題ありません。

距離が遠い場合は、毎日1時間近くかけて、孫を送り迎えしている方の話も聞きます。距離によりますが、近いことによる子育て世帯の祖父母負担、介護世帯のこども負担が大きくなることもデメリットです。

メリット・デメリットのまとめ

評価一覧を以下に示します。。また、近居より遠い場合が遠居です。
「良い方」、「費用の安い方」から◎>〇>△>×で評価。

  同居 隣居 近居 遠居
初期投資 × ×
生活費 × ×
ご近所づきあいの負担 ×
子育てや介護の
負担軽減
×
助ける側の負担 ×
生活の干渉 ×
価値観の違いに
よるストレス
×
家を出た兄弟等
への影響
×
良好な家族関係を
保つ難易度※
×
建物の流通 ×
建物の自由度の高さ ×
生活が変わった場合
のリスクの高さ
× ×

※良好な家族関係を保つ難易度については、遠ければ悪化しないだけで良好とは言い難いので注意。

同居については、良いことが多い反面、リスクも多いという結果です。

家族関係を良好に保てれば、同居が最も良いのは明白です。

隣居や近居は、同居と遠居の『良いとこ取り』とも言えます。

一覧にすると、近居の良さがわかります。ただし、生活するうえで金銭面は大変重要なことですので、ご自身の人生設計を考えてご検討ください。

同居経験からの住まい方のアドバイス

私の場合は、東京から実家に帰ってきたと同時に同居をしました。理由としては、金銭面や将来のことなどから通勤に1時間以上かかっても同居を選べました。ただし、7年間の同居生活は、表面上は良くても、妻や母の負担は大変大きかったです。

あなたは、妻の実家(夫の実家)に行ったとき気が休まりますか?リビングで寝ころべますか?

パートナーに実家に入ってもらう場合は、そんな状況がずっと続いているという認識を持つべきです。

親との同居をする場合は、誰が家の主導権を持っているかが重要です。基本的には、家を建てた人が主導権を持つことになると思います。私の場合は、親が建てた家に住まわせてもらっていたため、親世帯が主導権をもっていました。

これが、家を建て替えたり、リフォームした場合は立ち場が変わります。主導権を持っている方へ、生活スタイルや価値観、家事の方法などを合わせるのが一般的だと思います。

それが合わせられなければ、家族関係はどんどん悪化していきます。ちなみに私の場合は、妻に折れてもらって良好を保っていました。

10世帯あれば10通りの家族関係、人間関係、パワーバランスがあります。そうした中で、2世帯が同居をすれば、さらなる種類の関係が生まれます。

家族関係もそれぞれなので、こうすれば絶対大丈夫というのはありませんが、価値観の違いから同居には必ず我慢しなけらばならないことがあります。それをどちらかが我慢できるかどうかが大きなカギとなります。

我慢できず親世帯が出ていったという話も聞きます。さまざまな家族がありますが、私は住まわせてもらっている世帯が我慢するべきと思っています。その我慢ができなければ、お金がかかっても隣居や近居を選択するべきです。

一度関係が悪化してしまうと、修復にも時間がかかりますので、とりえず同居してみようとかの軽い考えでなく、しっかりと家族会議を開いて将来設計をしながら検討しましょう。

お金を貯めてから、新居を建てるという考えもありますが、今は超低金利の時代です。頭金を増やす意味は昔ほどありません。私の場合は、子どもや仕事の状況があって7年間の同居でしたが、もっと早く新居を構えるべきだったと後悔している部分もあります。

隣に新居を建てて、祖父母世帯、親世帯の双方にとって落ち着いた時間を過ごせ、祖父母のフォローも受けながら良い距離感を保てています。特に、このコロナの影響でこどもがずっと家にいる中で、同居を続けていたらゾッとする思いです。

隣居か近居はそれぞれの環境があると思います。私の地域は、田舎ということもあり、家に入る世帯が隣に家を建てるという家が圧倒的に多いです。

是非、パートナー、ご両親としっかりと話をして、みなさんが、納得する形で住まい方を考えていただければと思います。

近居のすすめ

メリット・デメリットをまとめてみると、金銭面以外では、近居がもっともバランスが取れていると言えます。

特に注目すべきは、リスクが低いことです。

同居については、家族関係の悪化のリスクが高く、隣居では、そこに住めなくなった時のリスクが高いです。

その点、近居は、祖父母世帯とも程よい距離感を保って生活ができ、もしなにかあった時も住宅を売却することができます。

初期投資や生活費は高くなってしまいますが、将来的なことを考えれば、それだけの価値は絶対にあると言えます。

新築が難しいければ、賃貸アパートや借家などでも考えられます。特に最近は自治体でも空き家活用に力を入れていて、都会でなければ、1000万円以下でも十分住宅を取得することは可能です。

資金状況はそれぞれ違うとは思いますが、目先のことだけを考えるのでなく、将来ビジョンをもって、近居とされることをおススメします

ただし、毎日1時間かけてご両親に子育てを手伝ってもらっている方もいますが、手伝ってもらう限りは、ご両親の負担を頭に入れて住宅選びをするようにしてください。

まとめ

私は、おススメする近居ではなく、さまざまな事情から隣居を選びました。

みなさまにとっても、それぞれ違った住まい方の考えがあるはずです。何が正解ということはありませんが、将来を決める大きな決断になりますので、しっかりとした検討が必要です。

終わりに同居を検討している方へ一言

『自分の都合で勝手に決めない!』

これだけは守ってください。もしくは、旦那(妻)が勝手に決めようとしていたら怒ってください。

同居をする前にしっかりとした理解がなければ将来的に絶対にうまくいきません。

同居はメリットがたくさんありますが、そのメリットを得るためのリスクもかなり高いです。

リスクを理解したうえで、みなさんが納得した結論を出すことが大切です。

最後になりますが、皆さんの幸せな生活にこの記事が少しでもお役立てできましたら幸いです。

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