ポストコロナ社会は地方創生の救世主になるのか?

平成26年12月、政府は、人口減少を克服し、活力ある日本社会をつくるために、

「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(長期ビジョン)」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」をまとめ、地方創生を掲げました。

※地方創生は、首都圏などから出生率の高い地方に移住をさせ、人口密度を平準化させることで、日本の人口を維持することを目的としています。

その後、5年を経過し地方自治体も、自分たちの町に人を集めようと、さまざまな施策に取り組んできています。

そうした中、コロナウィルスによって、働き方や価値観が大きく変わり、ポストコロナ社会は地方創生を実現するための救世主となり得るのでしょうか。

私も、約10年前に第一子の出産を機に東京での激務から逃げるように、故郷に帰った人間の一人です。(プロフィールはこちら

東京から地方へ移住(Uターン)した実体験も踏まえながら、ポストコロナと地方創生について考えてみたいと思います。

地方移住への障壁は何なのか?

国の調査によると、東京圏在住の49.8%が地方圏での暮らしに興味があるという結果が出ています。地方圏出身者に限定すれば61.7%です。
⇨⇨⇨移住等の増加に向けた広報戦略の立案・実施のための調査事業報告書

しかし、実際に移住(以下、Uターン、Jターン、Iターン全てを含む)をする人は数%です。

地方移住の最も大きな障壁となっているのは

『仕事』

です。

地方への転職 = 給料が下がる

というイメージが強いからと言えます。これは、基本的に正しいです。

地方へ転職して給料が上がる人は、ほとんどいないと思います。あり得るとすれば、地方で起業をして成功したり、親の家業を継いだ場合に限られるでしょう。

生活のレベルを落とすリスクを冒してまで、新しい土地に行くことは、相当な勇気と覚悟、きっかけが必要です。

これから、働き方や価値観が変わる中で、この仕事へのリスクを抑え、地方のメリットをどうアピールできるかが、地方創生の大きなポイントと言えます。

地方はお金がかからないという誤解

地方の生活を考える中で、地方はお金がかからないという誤解をされている方が一定数います。

一般的なイメージで

都会 ⇨ 物価や教育費が高くお金がかかる

地方 ⇨ 物価が安く、野菜等の自給自足ができお金がかからない

※ここでは、
都会とは・・・首都圏や150万人以上の政令指定都市
地方とは・・・それ以外の地域
を想定しています。

と思っている方もいると思います。

しかし、インターネットもなく物流も弱かったひと昔前ならあり得ますが、

これは大きな間違いです。

確かに、世田谷区や中央区などのスーパーは高く、物価も高いですが、そんなところに住んでいる方は、本当の上流階級で極一部の方です。

私は墨田区に住んでいましたが、近くのスーパーの野菜の金額と地方の金額は大きく変わることはありません。むしろ競合店が多い都会では、探せばもっと安いお店も多いと言えるでしょう。

都会の方がお金がかかるもの

都会暮らしの方がお金がかかる最も大きな理由は『住居費』です。

アパートやマンションの家賃や土地代については、明らかに都会の方が高いです。

また、『教育費』も高くなる傾向にあります。

当然、私立の学校に通わせれば高くなりますし、それだけでなく、塾などの費用が多く必要になってきます。

地方の方がお金がかかるもの

最も高くつくのは、『自動車』の費用です。

田舎では、一人につき車1台では足りません。普段使いの車1台に、軽トラックなどの作業用の車まで必要な場合もあります。

車1台に1年でどれくらいお金がかかるか考えると、

①車両代:10万円/年(100万円の車を10年間使用)

②車検代:5万円/年(1回当たり10万円)

③ガソリン代:5万円/年(年間走行5000km、燃費10km/L、費用100円/L)

④保険代:5万円/年

以上より、車を1台維持するのに概ね年間25万円程度は必要になります。

2台持てば年間50万円の出費です。

都会ならば、車が無くても生活ができ、最近では必要な時だけ使うカーシェアリングも普及してきています。

また、『祭典費』『自治会費』も地方の方が、付き合いも多く出費が多くなるといえるでしょう。

総務省が発表している消費支出

総務省が、年間の消費支出を算出しています。(⇨⇨総務省家計調査2019年

二人以上世帯の平均世帯年収(税込み収入)と消費支出(税金や社会保険料除く)

  全国平均 大都市 中都市 小都市A 小都市B
・町村
調査世帯数
[世帯]
7,522 2,188 3,892 987 455
世帯人数
[人]
2.97 2.92 2.95 2.99 3.04
平均年収
[万円]
618 646 615 612 581
消費支出
[万円/年]
352 362 352 348 339
消費支出
[円/月]
293,379 301,949 293,374 290,439 282,224

※ 都市階級と人口規模の対応は以下のとおり
 大都市 政令指定都市及び東京都区部
 中都市 大都市を除く人口15万以上の市
 小都市A 人口5万以上15万未満の市
 小都市B 人口5万未満の市

大都市ほど収入は増えるが、消費支出は大きく変わらない

上記一覧を見てわかるように、大都市ほど世帯年収は増えますが、消費支出は、そこまでは増えていません。

数字で言うと、大都市と小都市B・町村を比較すると、年主では65万円の差がありますが、消費支出では、23万円の差になります。

結局は、何にお金をかけるか

田舎だからといって、お金がかからないということはありません。所得が減ることによって、それだけ我慢することが増えるだけです。

私の場合は、東京で働いていた時より、収入は半分近くになったため、こどもの教育にかけるお金は、かなり抑えることになったと思います。

ただし、私は4人の子どもがいますが、東京で暮らしていれば2人目を生んでいたかもわかりません。それだけ教育費にもお金をかけていたでしょう。

結局は、自分の人生において、何を重視して何にお金をかけるかということです。

お金の使い方については、答えはなく、それぞれの結論があると思いますので田舎暮らしを検討する場合は、お金の考え方についてじっくりと考えましょう。

こちらに、幸せの方程式についてまとめていますので、ご興味のある方はご覧ください。

幸せの方程式とは|H=(j+r+2f+m/d)h
幸せって何なのか?方程式を使って考えてみましょう。

ポストコロナ社会の地方創生のキーポイントが2つ

ポストコロナ社会における地方創生のキーポイントは

『テレワーク』『ワーケーション』です。

新型コロナウィルスにより一気に進んだテレワーク

さきほど述べた通り、移住による最も大きな課題は、『仕事』です。

それを解決するために地方が大きな期待を寄せているのがテレワーク(リモートワーク)です。

政府も、子育て世帯の働きやすい環境づくりを主な目的として、テレワークを推進してきましたが、なかなかうまく導入出来ずにいました。

そうした中、コロナウィルスによりその普及は一気に進み、結果、意外とリモートでも仕事ができることがわかりました。

しかし、田舎における多くの男性の仕事は、公務員、現業系の工場勤務、農業が9割以上を占め、私の周りも、ほとんどがその3つどれかで、このコロナ禍の中でもテレワークを行っている人は聞いたことがありません。

この現状が、移住に一歩踏み出せない大きな要因でしたが、テレワークが進めば、仕事を変えずに移住したり、仕事の選択の幅が広がり、地方創生への救世主と成り得ると言えます。

特に、首都圏から近く、移住希望者の多い、長野県や静岡県は大きなチャンスと言えるでしょう。

新しい観光と働き方との融合『ワーケーション』

いま国が推進しようとしているのが、ワーケーションです。

ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を合わせた造語で、観光で行った出先で、仕事をすることです。

移住には直接関係はありませんが、観光がより身近になることで、移住につながり、現在瀕死の状態にある観光業を再興するひとつのヒントになるということで期待されています。

しかし、現状としては、日本の価値観にあるかというと非常に疑問でもあります。現在は期待できないインバウンド需要をポストコロナでどのように活かすことができるか。

日本の街中は、外国人(特に欧米)の人からすると、『休むところが少ない』、『座るところが少ない』と言われます。いわゆる『サードプレイス』がないことが要因と言えます。

サードプレイスは、第1の自宅、第2の職場、作業場、に続く、第3の場所としてカフェや公園などの休んだり作業したりする場所を示します。

これからの、地方のまちづくりは、サードプレイスがカギとなっていくのではないかと考えています。

ただし、前述したように日本人にとって、現時点の価値観では、ワーケーションはかなり無理がある政策であり、今後は日本全体の取組が必要となると思います。

ポストコロナは地方創生の救世主に成り得るか?

これは、今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)がどれだけ進むかにもかかっていますが、大きなチャンスとなると思います。

ポストコロナでは、新しい働き方や生活様式が求められ、デジタル化をさらに推進する必要性を多くの国民が感じています。

都市に住む若者にとって、地方創生を進めるには、地方が給料を落とさないホワイトカラーの『仕事』と『住まい』を提供できるかです。

ホワイトカラーの仕事は、リモートワークによって地方に増えるチャンスが必ずあります。

地方の生活は、想像以上にお金がかかるものです。ただし、一人1台の車の生活は想像以上に便利です。

高齢になった時が心配かもしれませんが、ここ10年で自動運転車の開発も大きく進むでしょう。そうなれば、高齢者になっても病院に苦労することはありません。
定期的な診察は、現在でも取り組まれているスマホ診療でも十分でしょう。

普段の食生活においても、ドローン技術がさらに進めば、すぐに届けてくれますし、ウーバーイーツも現在は都市部だけですが、10年後には全く違った世界になっていると思います。

今後のAI化やDXが進めば、地方の将来を悲観する必要はありません。

収入も落とさず、スローライフを送りながら、地方で子どもたちを育ててみるのも良いのではないでしょうか。

若者が求める住まいとは

若者は、安価な『住まい』を求めている場合も多いですが、それよりも安心できる住まいを求めています。

地方への移住で最も多い失敗が、『近所付き合い』です。

これは、ご本人の性格に大きく左右されます。野菜の交換があったり、お祭り等の密な付き合いがあったりすることに、抵抗がない人ならば良いですが、外様で入ってきた人の場合それを煩わしく感じる人が多くいます。

行政としては、移住希望者が『近所づきあいが少ない新興住宅地』『人付き合いが密な民家』の選択ができる情報提供を行っていく必要があるでしょう。

自治体が行う移住定住策の勘違い?

多くの自治体は、移住定住ということで、名前と生活を知って頂こうとシティプロモーションを推進しています。

私としては、移住定住のために無理にその自治体を知ってもらう必要があるのか疑問を感じます。(観光施策としてはまた別です。)

たしかに、縁もゆかりのない人が、その町にいって豊かな生活をしている姿はカッコよいし、映えるでしょう。

でも、その姿を目指している人たちはどれくらいいるのでしょうか。

地方移住に興味のある人のほとんどは、地元に帰って、普通のサラリーマン生活をしたいだけだと思います。

私も、東京の生活をやめて、私と妻の両親が住む地元で公務員になって帰ってきただけです。

行政は、Iターンも狙うのではなく、もっとUターン、Jターンに狙いを絞った政策に取り組むべきなのではないでしょうか。

最後に移住する住まいの話

本ブログは、住宅情報ブログです。最後に住まいの話をしたいと思いますが、近年の豪雨の報道を見ると、地方移住が心配になる方も増えるのではと思います。

ただし、都市が安全かというとそれは全く別の話で、大地震が襲えば公共機関やインフラが壊滅し、生活はさらに混乱を極めると考えられます。

地方には、豪雨により危険になる地域はたくさんあります。

家を探す際は、必ず自治体が出しているハザードマップを見て、危険性がある場合は絶対に避けるようにしましょう。

地震は、日本全国どこでも起こり得ますので、自治体から液状化マップ等も出されていますので参考にしてください。

まとめ

ポストコロナは、世界の働き方、価値観、生活様式を大きく変えます。

これからは、デジタルの重要性はさらに高まることは明白で、そこの中心にはリモートワークがあります。

リモートワークを推進するまちづくりを行い、地方創生を成し遂げることが、日本を救うのだと思っています。

ポストコロナ社会が、地方創生の救世主になり、日本の救世主となることを期待しています。

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