建築職公務員への転職は正解か?【経験者が語る実態】

建設業界は、まだまだ忙しいですか?地元に帰りたくありませんか?

あなたは、公務員の建築職への転職を考えていて、ここに辿り着いたのだと思います。

そこで、

公務員って実際どうなの?仕事内容は?激務なの?
給料って下がるの?時間は作れるの?

そんな疑問にゼネコンから公務員への転職経験者が、実体験に基づき、公務員試験、給料、仕事などについてお伝えします。

もしあなたが、新卒で公務員を目指している学生だったら、まずはこちらからお読みください。

建築業界への就職を目指す際に知っておくべきこと
みなさん建築は好きですか?私は大好きです。建物をたてて、まちをつくり、みんなの幸せをつくる。本当に夢のある、やりがいのある仕事だと思います。大学院進学 ⇨ ゼネコン ⇨ 公務員 ⇨ 民間確認審査機関出向 ⇨...
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自己紹介

私は、新卒で大手ゼネコン(最大手5社うちの一つ)に入社し、構造設計3年、現場監督2年を経験したあと、第一子出産を機に、某政令市に建築職で転職しました。行政では、住宅政策関係3年、確認申請関係2年半従事した後退職し、現在は設計事務所を開いている38歳です。

詳しい経歴はプロフィール~haskyuの夢~をご覧ください。

さまざまな経験をしてきましたが、市役所に中途で入って、中途でやめる人間なんて稀ですので、なかなか言えないホントのところをお教えします。

試験

まずは試験に合格する必要があります。

一番注意しなければならないのが、年齢制限です。よくあるのがで30歳以下です。私も29歳での転職でしたが、県庁は28歳までだったため、試験自体を受験できませんでした。。。

最近は、どこも社会人経験者枠も増やしているので、年齢制限が上がり、40代以上でも受験可能なところもあります。

まずは興味のあるところが建築職の募集があるか実施状況をインターネットで調べてみましょう。建築職は、ある程度の大きさの市でないと募集自体がありませんのでご注意ください。

建築職の試験でよくあるのが、

・一般教養筆記試験
・専門筆記試験
・面接試験

の3種類です。

筆記試験(一般教養、専門)

あなたは、公務員になるために何時間の勉強が必要だと思っていますか?

ちなみに私が試験のために勉強した時間は数時間です。本当になんとなく妻が昔使った問題集を見たくらいです。まぁほぼゼロということですね。

事務職や新卒の方は、1年近くかけて一生懸命勉強すると思いますが、建築職社会人の受験は勉強は

基本的に不要

です。

というか忙しくて時間なんて取なくないですか?

不要な良い理由は、まずは、一般教養は範囲が広すぎて、まともに勉強しようと思えば何百時間も必要で、とても社会人をしながら対応ができません。事務職に比べて一般教養の問題レベルは低く(自治体による差はあり)十分対応可能です。

私の場合は、苦手の英語は完全に捨てて、数学関係にしっかり時間を費やすなど、時間配分にも工夫しました。

専門試験については、社会人でしたら合格不合格は別として、1級建築士の勉強をしていると思いますので、特別に意識する必要はありません。その知識だけで充分です。もしも、建築士の勉強をしていなければ、必要な資格ですので、勉強しても無駄にはなりません。

ちなみに、2級建築士レベルで良いかと言われると、行政によって違うので何とも言えませんが、両方の受験者からすると、1級と2級はレベルが全く違います。2級では対応できませんので、1級の勉強をするようにしてください。

これは、私が特別だったわけではなく、実際に、私以外の社会人経験者もほとんどが勉強していなかったと言っていました。

各市の試験の実施状況を見ると、場合によっては、申込した人の半分くらいが、試験を受けていません。これは、気持ちだけはあったんだけど、「勉強しなかったしどうせ受からないしやめておこう。」という人が多いのが要因だと思います。

そんなに難しい問題はありませんので、申込するくらいなら記念受験くらいの気持ちで受けてみるのも有だと思います。

面接

公務員試験は、社会人も多いですが、半分は新卒です。いままでの経験を自信を持ってアピールできれば、絶対大丈夫です。

ちなみに私は、それまでの経験から、『面接では絶対落ちない』という思いが強くなってしまい、あからさまに生意気な態度に見えてしまったらしく、面接の評価は低かったようです。

行政は、尖った才能を持ったサラリーマンより、従順な人間を好む傾向がありますので、自信を持つことは大切ですが、謙虚さを忘れずに、試験に臨んでください。

建築職の倍率

こちらが政令市の令和元年度実施の建築職の合格率の一覧です。

都市名 受験数 合格数 倍率 都市名 受験数 合格数 倍率
札幌市 17 7 2.4 名古屋市 19 14 1.4
仙台市 18 5 3.6 京都市 22 9 2.4
さいたま市 9 2 4.5 堺市 6 3 2.0
千葉市 14 7 2.0 大阪市 43 20 2.1
川崎市 19 8 2.4 神戸市 14 5 2.8
相模原市 7 2 3.5 岡山市 11 4 2.8
横浜市 45 31 1.5 広島市 17 9 1.9
新潟市 8 4 2.0 北九州市 14 6 2.3
静岡市 10 1 10.0 福岡市 23 7 3.3
浜松市 3 1 3.0 熊本市 5 3 1.7
        合計 324 148 2.2

数字を見てどうですか?

令和元年度の平均は2.2倍です。年によっても大きくバラツキがありますが、政令市以外は、さらに倍率は低くなる傾向もあります。

企業に比べて競争率が低いことがわかるかと思います。どこの市も申込はもっといますが、申込はしたけど、受験はしなかったという人も多いです。

近年は、即戦力を求めて、社会人枠を設ける自治体も多く、年齢制限が緩和されています。なお、上記表は一般試験のため、社会人枠は、基本的にもっと高くなるのでご注意ください。

公務員の平均年収

実際に年収はどのくらいか気になると思います。

総務省から発表されている4歳年齢ごとの給料が以下の表です。

想定給与、想定ボーナス、想定年収については、全国平均との比率から算出しています。

年齢 全自治体(一部事務除く)
職員数
[人]
平均給料
[円]
想定給与
[円]
想定ボーナス[円] 想定年収[円]
20歳未満 4,595 151,226 190,500 769,700 3,055,700
20~23歳 36,030 178,987 225,500 911,000 3,617,000
24~27歳 74,641 202,791 255,500 1,032,200 4,098,200
28~31歳 84,575 230,362 290,200 1,172,500 4,654,900
32~35歳 70,316 261,242 329,100 1,329,700 5,278,900
36~39歳 72,600 298,892 376,500 1,521,400 6,039,400
40~43歳 90,515 337,082 424,700 1,715,700 6,812,100
44~47歳 113,535 364,400 459,100 1,854,800 7,364,000
48~51歳 98,880 383,509 483,100 1,952,100 7,749,300
52~55歳 89,873 398,796 502,400 2,029,900 8,058,700
56~59歳 84,958 410,652 517,300 2,090,200 8,297,800
60~63歳 15,915 264,942 333,800 1,348,600 5,354,200
64~67歳 1,243 272,626 343,500 1,387,700 5,509,700
68歳以上 135 311,429 392,300 1,585,200 6,292,800
全体 837,811 318,644 401,400 1,621,900 6,438,700
年収算出の考え方

想定給与とは・・・公表給料に、全国平均の給料と給与の比率1.259(独自算出)を乗じたもの
想定ボーナスとは・・・公表給料に、比率5.09(独自算出)を乗じたもの
想定年収とは・・・(想定給与)×12+(想定ボーナス)

(参考)給与と給料の違い:給与は、給料に扶養手当や住居手当等の毎月支払われる手当を足したもの

地方公務員の42歳時平均年収全国ランキングが知りたいかたはこちら
⇨⇨⇨地方公務員42歳時仮想平均年収ランキング【都道府県別】

地方公務員建築職の仕事内容

地方公務員の建築職の主な配属としては、

①建築指導関係(建築基準法、確認申請関係等)

②住宅関係(市営住宅や住宅政策、空き家等)

③公共工事関係(公共工事の設計・管理)

④都市計画関係(市街地活性化、再開発等)

⑤その他必要な部署

になります。基本的に行政は、新人のときは10年で3課まわると言われるように多くの異動を繰り返し、さまざまな経験を積んでプロの行政職員を目指していきます。

それぞれの仕事内容(業務)について、解説します。

①建築指導関係

建築指導関係は、建築基準法に基づく行政の業務を行います。

市町村の規模に応じて、特定行政庁、限定特定行政庁、都道府県庁、その他があります。

特定行政庁には、建築主事が置かれ、建物の規模に関係なく、独自の権限で確認審査ができるため、建築職の公務員にとっての花形業務とも言われます。
しかし、近年は、確認審査は民間審査機関が9割以上を審査しているため、業務のほとんどが建築基準法についての建築相談になります。

限定特定行政庁では、4号建築物と言われる木造住宅程度しか、確認審査ができず、業務もかなり限られてきます。

都道府県庁では、特定行政庁以外の市町村の確認審査を行い、所管の範囲の建築関係の取りまとめを行っています。

その他、耐震診断や道路の指定などの業務があります。

②住宅関係

住宅政策関係の業務を行います。特に最近では、空き家問題が注目され、各自治体で取り組んでいます。

また、市営住宅の企画や管理、修繕などの業務があります。市営住宅の管理については、別機関に委託することが多く、市営住宅の住民との接点は昔にくらべかなり低くなっています。

③公共工事関係

自治体で行われる公共工事の設計・監理を行います。設計と言っても現在は図面を描く仕事はほぼ皆無です。設計は設計事務所に発注し、監理も設計事務所が行うのが一般的です。

時代背景からもどこの自治体も新築工事はかなり限られてきていて、ほとんどが修繕工事や小規模の建物の新築になります。

公共工事の入札を出すための設計書の作成と現場確認が中心業務になります。

④都市計画関係

公務員の建築職に転職する理由の一つに都市計画に興味がある人が多くいます。私もそうでした。しかし、都市計画関係の部署は基本的に土木職で建築職のほとんど枠はなく、限られた人しか配属されません。

また、行政の中では、建築職と土木職を比べると、土木職が上に立つことが多いため建築職は肩身の狭い部分もあります。

それらの理由からも『都市を再生する!』というような大きなプロジェクトに関わることができる可能性はほとんどないと考えても良いです。

⑤その他必要な部署

今後の公共施設の維持管理や更新を考えたときに、建築職はさまざまな部署で重宝されています。当初考えられなかった部署にいかされることも多いです。

例えば、こども関係やスポーツ関係、文化関係等、いろいろな経験をできる良さはありますが、建築を極めたいと思っている方にとっては、かなり違和感を覚えることもあります。

ちなみに私は、1年目は庶務担当として、消耗品の支払いや臨時職員の給与の支払いなどの業務をしていました。

建設現場でバリバリ働いていた人間として、ほんとにこんなので良いのか!?と思う日々でしたが、行政の業務を覚えるという意味では大変貴重な経験でした。

公務員って激務なの?

公務員の建築職は、建築分野の中でも特殊な職業です。正直建築が大好きで、建物をつくることに生きがいを感じたいと思っている人にはおすすめできません。

ただ、人生の中で、何に重きを置くかは人それぞれです。

公務員の建築職って激務とも聞きますが、実際どうなんでしょうか。

民間企業と公務員を経験した私としては、激務とは到底かけ離れていると感じました。

自治体にもよると思いますが、現在の新築工事もほとんどない中で、深夜までの残業はありえません。

私は5年半のうち、最大の時間外は40時間程度、平均で10時間以下でした。

稼ぐために無理に残業をしている人も少なからずいましたが、効率的に業務をこなせば、通年的な時間外はしている人はほとんどいません。もちろん繁忙期で必要なときはありますが。

ちなみに、大学時代の友人が数年前に某市役所に建築職で転職しましたが、コロナの対応で今が、いままでで一番忙しく、GWも休めないとのことでした。大災害等の突発的な理由によって、激務になる可能性は十分にあります。

『公務員の方が、体力的には楽だけど、精神的には民間より大変』と言う方がいましたが、両方経験した身として、さらに現在は外から見ているものとして、それはあり得ません。

あきらかに、民間企業の方が、体力的にも大変で、精神的にも大変です。公務員が精神的に楽とは言いませんが、民間企業と比較すれば大変とは思いませんでした。

休日出勤も、私の場合はほとんどありませんでした。民間企業にいたときは、家にいるときも仕事を持って帰ったり、仕事のことばかり考えていましたが、公務員時代は、仕事とプライベートがしっかりと分けることができ、精神的にも体力的にもリラックスが可能でした。

なんか、公務員の良さばかり伝えてしまいましたが、すべての自治体で同じというわけではなく、激務の自治体もあると思いますが、新築工事が減っている中で、建築分野の業務量が減っているのはあきらかです。

ただ、公務員の業務が自分に合わなければ転職するべきではありません。公務員は、全体の奉仕者であり、住民からの税金で生活しています。公僕となって自分の人生の全力をその自治体に注ぐ覚悟を持つことができなければ、公務員になる資格は絶対にありません。

さまざまな情報を入手しながら公務員をご検討ください。

※現在、コロナ対策のため、自治体職員は土日もなく深夜まで一生懸命対応していただいています。東日本大震災の際もそうでしたが、災害時は特に激務となります。本記事については平常時の内容ですのでご理解のほどお願いします。

こんな人に公務員がおすすめ

公務員をおすすめする9つのパターンを紹介します。

①図面を描くよりチェックする方が好き

公務員の業務は、作る事よりチェックすることの方が圧倒的に多いです。確認申請や委託事業のチェック等だけでなく、チェックしなければならない書類が毎日あります。私は正直あまりチェックは好きではありませんでした。細かいチェックが好きな人には合っている仕事です。

②お金より時間がほしい

公務員の給料は、平均給料ですので前述したように生活するうえでは、十分な給料をもらっていますが、大手建設会社や大手ハウスメーカーに比べれば6割~7割くらいでしょうか。

ただ、プライベートの時間は十分につくれ、休日の負担もほとんどありません。とにかくプライベートを大切にしたいという方はやはり公務員はおすすめです。

③現場や製図より、建築の相談を聞く方がすき

部署にもよりますが、とにかく市民相談や建築相談が多いです。1日の大半が窓口相談で終わってしまうということもあります。

さまざまな相談を受けて回答する楽しさはありますが、苦痛に感じる人も多くいます。相談が楽しく感じることができる方には良いと思います。

④新しい仕事を考えるより、与えられた仕事をしていたい

行政課題を解決するために当然新しいことを考えていかなければなりません。しかし、新しいことを考えるより、決められた与えられた仕事をこなす業務の方が圧倒的に多いです。

また、新しい仕事を嫌う傾向もあり、給料が上がるわけではないし、自分や部下の負担を極力減らしたいという思いの方が多いです。

新しいことより、目の前の仕事をきっちりやりたいという人向きの仕事になります。

⑤個別の建物の計画より、まち全体の計画をつくりたい

建築職としてできることはかなり限られていますが、都市計画や空き家政策など、まち全体に関わる計画を策定できます。個別の建物の計画よりまちづくりをしたければ、能力があれば携わることができます。ただし、建築職にできることは限られており、狭き門でもあります。

⑥自分の設計、施工した建物が完成しても感動しない

建築に携わる者として、自分の設計や施工した建物が完成したときの感動が建築の醍醐味です。もし、建物の完成を迎えても、感動できないと感じてしまっていれば、そもそも、もっと別の道に進む方が良いと思います。しかし、いままでの建築の経験を活かしていきたいという思いがあれば、公務員も一つの道です。

⑦1つの仕事ではなく、様々な仕事をしたい

公務員は、3,4年で異動になり、全く違う業務をやることになります。民間企業は、設計、施工など基本的にはずっと同じ業務をしていくことになると思います。建築以外の仕事も含めて、多くの部署や業務に携わることになるので、さまざまなことに興味を持つような方には合っているのではないでしょうか。

⑧自分の好きなまちのために働きたい

公務員として大事なことは、そのまちが好きで、そのまちのために人生を注げるかどうかです。ただ単に働いている公務員もたくさんいますが、好きなまちがあるならば、どこのまちも技術職不足に頭を悩ませているので、ぜひ、いままでの経験を活かして公務員になることをおススメします。

⑨都会のくらしより地元に帰りたい

私もそうでしたが、都会の暮らしに疲れて、地元に帰りたいと思っていれば、一度試験を受けてみてください。地元の民間企業に転職するにも、どうしたら良いかわからないし、企業としての心配もあると思います。受験資格を満たしていれば簡単に試験を受けられるので、気軽に挑戦できるのが公務員試験です。

まとめ

公務員試験や年収、建築職の業務について解説してきました。

公務員の建築職というのは、かなり特殊な仕事だと思います。私からは、おすすめする9つのパターンを紹介させてもらいましたが、公務員になったら何をするのか。何ができるのか。しっかりと調べて、自分に合っているかを判断して転職を検討いただければと思います。

公務員に少しでも興味があるようでしたら、とにかくチャレンジしてみることです。建築職の場合、大きい自治体と小さい自治体で合格難易度が大きく変わるわけではありません。

給料も大事ですので、あとで後悔しないようにしっかりと調べてくださいね。

皆様の人生にとって、ひとつのきっかけとなることができましたら幸いです。

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